株式会社ロックオンには、開発拠点としてベトナム現地法人「LOCKON Vietnam Co., Ltd.」があります。
2012年に数名の社員がベトナムに渡り、立ち上げたロックオンベトナムは、今では40名を超える大きな組織となり、日本と連携をとりながら、日々アドエビスの開発に取り組んでいます。
そんな、日越の共同開発において欠かせないのが、両拠点をつなぐ「コミュニケーター」の存在。
通訳や翻訳を中心に多方面でプロジェクトの進行を支えています。
先日、ロックオンベトナムのコミュニケーターの一人が研修のため来日したので、日々のお仕事や日本での研修について話を聞いてみました。
お話を伺ったのは、Nguyen Dac Ky Duyenさん。
社内では「ユエンちゃん」という愛称で呼ばれています。
ロックオンベトナムでのインターンがきっかけで2017年7月に入社。ベトナムと日本のエンジニアをつなぐ存在として、通訳を中心にプロジェクトの進行をサポートしている。現在大学4年生で学業と仕事を両立しながら、日々奮闘中。
―
仕事で成長を実感する日々
領域を超えて、できることを増やしていきたい
―「コミュニケーター」とは、どんなお仕事ですか?
日本とベトナムの橋渡し役として通訳や翻訳などを中心とした仕事をしています。主には、開発プロジェクトの会議に同席して、ベトナムと日本のエンジニアの意思疎通と円滑なプロジェクトの進行をサポートしています。
―もともと通訳の仕事に興味があったんですか?
通訳に興味があったというより、大学3年の時に授業の一環で参加したインターンがきっかけで今の仕事を始めることになりました。インターンが終わってからも、継続して1年ほど働く中で、自分にできることで会社に貢献したいという気持ちともっとレベルアップしたいという想いが強くなり、大学4年生になってからは正社員としてお仕事をすることになりました。
ー大学に通いながら正社員として仕事をしているんですか?
はい。大学生でも正社員として働けないことはないので、会社には柔軟に対応いただいています。(笑)授業がある日は学業を優先して、それ以外の日は仕事をしています。両立は中々難しい部分もありますが、やりがいを感じています。
―正社員として働くようになって何か変化がありましたか?
これまで以上に責任の伴う仕事を任せてもらえるようになって、仕事を通して成長できる部分が増えたと思います。インターンの時は、時間内で完了できなかった仕事は他の人にお願いする感じでしたけど、今は自分で最後まで完遂するにはどうしたらいいか工夫しています。以前よりも責任感が強くなりましたね。
―エンジニアの会話は専門的な話が多い印象ですが、専門用語の通訳は難しくないですか?
早いスピードで専門用語が飛び交うので、最初はもう無理って感じでした。(笑)
文系出身なので、初めは本当に難しかったですね。今でも、難しいなと思うことは多々ありますが、日々勉強しています。
ベトナムに日本語ができるブリッジSEがいるので、その先輩の姿を見て「こういう場合はこんな言葉を使うのか。」と勉強させていただいたり、会社の制度を利用して終業後にはプログラミングのスクールにも通っています。HTMLやCSS、PHPなどの基礎を学んでいて、会議等で役に立っています。日本には文系出身で活躍しているエンジニアもたくさんいるので、とても刺激になりますし、私もそうなりたい思います。
―翻訳だけじゃなくて技術の勉強しているとは驚きました。大変じゃないですか?
そうですね。大変な部分はありますが、それ以上に領域を超える楽しさがあります。
これまでは通訳や翻訳が中心だったんですが、先日参加したプロジェクトでは要件定義書の作成にも挑戦しました。まだシステムの理解が足りなかったり、資料の作成方法がよくわからなかったりしますが、先輩のサポートのもと、完成させることができました。
本来の通訳の仕事は他の人が考えたソリューションを別の言語に変換することですが、その領域を超えて自分で考えて形にしていく仕事、例えば要件定義書を書いたりすることができるこのロックオンベトナムの環境は、とても刺激があっておもしろいです。
ー
気づきに溢れた2週間の来日研修
気づきを形にしていきたい
―今回、日本で研修を受けることになった理由をお聞かせください。
今回は、デザインのノウハウを学ぶために日本にきました。アドエビスの画面デザインは日本のデザインチームが行っているので、ベトナムでは日本からのデザイン資料をもとにエンジニアが画面を実装しています。ただ、デザインの意図がうまくくみ取れなかったり、仕上がりが元のデザインと異なるといったことが多々あるので、デザインの理解を深めるために日本に来ることになりました。
それからいつも遠隔でやり取りをしているので、実際に現場に行って違う目線で会議の進行を見てみたいというのもありました。
―実際日本にきてみてどうですか?
相手の状況や表情が見えるので、日本にいる方が通訳はしやすいですね。TV会議だと時々音声が途切れたりすることもあるので、近くにいる方が翻訳の精度が上がると感じました。とは言え、もうすぐベトナムに帰るので、遠隔でも今回得た気づきを活かせるようにしたいと思います。
―具体的にどんな気づきがありましたか?
通訳の仕事は、『間』をうまく作ることが重要だなと改めて実感しました。ベトナムでもよく区切って訳すように言われていたんですが、日本に来てその必要性を強く意識することができました。
日本とベトナムのエンジニアが参加する会議で、ベトナム語の会話が続いた時、日本側がどんな状況なのかを自分の目で見て実感できたことが大きいですね。短く区切って、お互いがキャッチアップしやすいようにうまく『間』を創り出していきたいと思います。
ー研修の一番の目的である「デザインの理解」に関しては、どうですか?
「デザインで一番大事なことは整列」という言葉が心に響いています。ベトナムの画面開発チームには1px単位の調整は細かすぎるという感覚があるのですが、1pxの差で仕上がりの印象が全然変わることを知って、デザイナーの気持ちがよく理解できるようになりました。細かい気づきが多いですが、ベトナムに持ち帰ってすぐにでも活用できそうな内容がたくさんありました。
あと、日本側でデザインの作成に利用しているXDファイルの使い方についても教わったので、そのノウハウをベトナムのみんなにも伝えたいと思います。
―この2週間を振り返ってどうですか?
あっとういう間でした。日本のみんなが本当に優しかったです。仕事帰りに一緒に食事やカラオケに行ったり、休日にはUSJや京都を案内してもらったりと、とても楽しく過ごせました。これまでメール等でしかやり取りしていなかったメンバーと実際に会えた喜びも大きかったです。みなさん、想像の何倍も優しくて、たくさん指導していただき、学びと気づきがたくさんありました。
ーベトナムに帰ってからどのように活かせそうですか?
XDファイルの作成ノウハウ、デザインの考え方に関しては、画面の実装を行うチームに共有して、なるべくデザインチームの手間を省けるようにしたいです。
また、いつもサポートしてくれている日本のエンジニアの忙しさが分かったので、効率よく進めるために、私を含め、ベトナムチームでできることを一緒に考えていきたいと思います。
また、今回築けた人間関係を、これからの仕事で活かしていきたいです。
プロジェクトの円滑な進行をサポートするために、領域を超えて挑戦する姿がとても印象的でした。
これからも日越をつなぐ存在として、その活躍を楽しみにしています!