商流プラットフォーム事業本部長の宗平順己です。
3月まで大手ユーティリティ企業の情報子会社で、R&D統括とコンサルティング統括をしていました。この道30年のコンサルタント&研究者で、業務改革、IT戦略、アーキテクチャ、ITガバナンスなどが専門です。私の名前で検索してもらうと、著書や論文、講演記録などが出てきますので、興味のある方はどうぞ。
さて、皆さんは「サービスデザイン」という言葉を知っていますか?
サービスデザインは、ビジネスをデザインするというもので、CX→UX→UIと展開されていきます。
CX:顧客経験(customer-experience)
UX:ユーザ経験(user-experience)
UI:ユーザインターフェイス(user-interface)
ECサイトの操作性を考えるのがUI、ECサイトの楽しさを考えるのがUX、そもそもどういうECビジネスをするのかを顧客起点から考えるのがCXです。
UX/UIはシステム側の関心事項、その上位にあるCXはビジネス側の関心事項ということができます。ECサイトに限らずシステム開発をするにあたって、要件定義を最初に行いますが、受身のエンジニアは顧客要求をヒアリングして整理することが要件定義と考えていますが、それは古き良き時代のことで、今はそのスタンスは明らかに間違いといわれています。
全てのシステムはビジネス要求を実現するために導入されるべきなのですが、ECやアドテクではITが前提となったビジネス要求が発生します。このため、システム機能を前提としたビジネス要件を考えてしまうという主客転倒の状態が非常に良く発生します。とはいっても、かつての業務システムの様にシステム開発をする前に要求事項を整理できるかというとそうではない。
実施してみないとわからないというのが実情です。
このようなIT利用が前提で、かつ実施してみないとわからないビジネスモデルを検討できる人材を次世代高度IT人材と呼び、経済産業省では、その仕事の進め方を以下の図の様に定義しています。
サー ビスデザインは、まさにこの仕事の進め方に合致したフレームワークで、ヨーロッパでは2007年頃から広まり、米国西海岸発のデザイン思考と融合し、現在はこの様な人材はSDNという大きなコミュニティに属しています。私もこのSDNメンバーです。日本では2013年頃から慶応大学の武山先生を中心として 活動が活発化してきています。
サービスデザインをリードしている英国のEngine社は、このプロセスを下図の様に定義しています。最も大事なのが、最初のDiscoverのフェーズです。ここでは徹底して顧客視点に立って、現在の問題点を把握します。この顧客視点に立つことを、英語ではEmphasizeと呼び同情であるSymphasizeとは厳密に区分しています。顧客志向と顧客起点の大きな違いがあります。
サービスデザインの成功事例としてメルセデスベンツの英国法人の例がEngine社のHPには掲載されていますが、日本でもKOMTRAXという立派な成功事例があります。
さて、株式会社ロックオンのソリューション事業部では、このサービスデザインのフレームワークを取り入れて、お客様のECビジネス全体のモデルを描き、そのうえで、UX\UI設計に進むというプロセスを取り入れており、お客さまから大変な好評を得ています。
ソリューション事業部では、今後も最新の取り組みをご紹介いたしますので、お興味ある方、取り組みたいという方は、お問い合わせください。