こんにちは、イルグルムのわです。
今回は、2021年10月にCOO(最高執行責任者)に就任し、アドエビス事業推進本部の本部長として主力事業を推進する宮本 力に、これからイルグルムで実現したいビジョンについて聞いてみました。
―これまでの経歴を教えてください。
国内有数の広告デザイン会社で、プロデューサーとしてクリエイターと共に多くのプロジェクトを手がけたのち、社長として会社を任されることになりました。
しかし、時はリーマンショック直後。会社は危機的な状況でした。
社長就任直後は、とにかく業績を立て直すことに必死で、人員整理のようなことやコスト削減なども必要に迫られ実施しました。ただ、利益こそ捻り出せるものの日々目の前の数字をただ追うだけで、「なんのために仕事をしているのか」私自身だんだんわからなくなっていったんです。なにより、人の犠牲のもとに数字が作られている組織は、社員がついてこない。クリエイター達を含め、組織がどんどん疲弊していくのがわかりました。
―売上、組織ともに大変な状況から、経営者としてどのようなことに取り組まれたのでしょうか。
こうした数字に偏った経営に悩んでいた時にある研修で知ったのが、「目標を追うだけの目的のない経営では社員は幸せになれない」という趣旨の言葉でした。はっとさせられたことを今でもよく覚えています。
当時の私は、数字の目標だけを追いかけるあまり、自社の存在意義(目的)を示すことができていなかったんですね。社員が幸せになれない会社が、社会に対して幸せや価値を提供できるはずがない。
改めて目的を考えたときに、私自身はクリエイターでもエンジニアでもないので、自分で何かをつくれるわけではないんですけれど、でもその分、クリエイターの才能や可能性はよくわかるといいますか、思いを持っているのに埋もれている人がいるのはもったいないなと感じることが多くて。
この思いを組織の目的とするため、「人の思いをカタチにする」を企業理念に定め、理念経営に着手しました。
―理念経営のもと、どのように成果を実現させたのでしょうか。
まず、社員であるクリエイターやエンジニアたちが培ってきたクリエイティブ力や技術力を発揮してもらうために、当時出始めたばかりだったアプリ開発、デジタルインスタレーション、VR など先端メディアの開発に乗り出しました。
また、最近では珍しくなくなりましたが、海外では主流になっていたインナーブランディングを事業に取り入れ、クライアントの本質的な目的を理解した提案を行いました。
さらに、社員発信型のオリジナルデザインプロダクトの事業プロデュースも行いました。
売上にはすぐに直結しないだろうと考えていましたが、世の中に出してみたところ意外にもヒットし、これらは結果的に売上にもつながりました。
―「人の思いをカタチにする」が実現したのですね。
「人の思いをカタチにする」を企業理念に掲げ様々な事業をプロデュースしたことで、社員の満足度も高まりましたし、メディアにも多く取り上げられ、自社のブランド力が上がったことで仕事も多く入るようになりました。こうした取り組みは特に採用面でも大きく貢献しましたね。
これらのプロデュースやマネジメントに関わる取り組みが実を結び、数年の後には業績も大きく回復させることが出来ました。
理念経営の大切さを身をもって体験したことで、組織開発が自分の軸になり、のちにグループ統括となってからも事業運営のモットーになりました。
―イルグルムに入社した理由を教えてください。
代表の岩田さんとは以前から親しくしていて、よく経営や組織について意見交換をし、同じ経営者としての実績や考え方に共感していました。
アドエビスでは広告効果測定という市場を創り、EC-CUBEではオープンソースの概念を持ち込んだ。よりよい社会を思って0を1にする力を持つ岩田さんのことを、とてもビジョナリーな経営者だなと尊敬していました。
イルグルムは、中期経営計画に向け、自社サービス『アドエビス』を中心としたマーケティングプラットフォーム事業の拡大に加え、新規事業の複数立ち上げ、グループ会社の参画と、少数精鋭の組織をいかにまとめあげ底上げしていくかが目下の課題という状況でした。
まだまだ成長の伸びしろが大きいイルグルムと一緒になってチャレンジすることで、共に大きく成長したいと考えました。
―ご自身での起業は検討されなかったのでしょうか。
理念経営の経験から、自分の思いよりも、思いを持つ人達の希望をカタチにしてあげたいという気持ちの方が大きかったので、あまり検討はしなかったですね。共感できる企業の組織育成に携わって人の才能を見つけ輝かせることができればいいなと。
ちょうど前職に一区切りがついたタイミングでもあり、イルグルムの目指す未来に、自身のこれまでの組織開発の経験とクリエイティブの知見が活かせると考え、入社を決めました。
―入社後はどのようなことを実施されているのですか?
まず、経営会議ではアドエビスを中心とした自社サービスの方針の明文化を提案し、サービスの最終ゴールを「カスタマーサクセス(顧客の成功)」としました。事業の「目的」をつくるということですね。
さらに役員メンバーと協議してスローガン化し、社員との意思統一に繋げることができました。
また、希望者を募ってUXリサーチのセミナーも開催しました。
イルグルムが提供するアドエビスは、マーケティングツールとしてたくさんのクライアントに利用いただいているので、当然UX(ユーザーエクスペリエンス)は欠かすことができません。著名な講師を招いて勉強会を実施するなど、継続して顧客理解を強化する取り組みを続けています。
―マネジメントについてはどのような取り組みを行われているのでしょうか。
直近では、これからの組織成長において、重要な役割となるマネージャー候補の管理職を対象に、約3カ月間のマネジメント研修を実施しました。
研修では、マネージャーに大切なことを中心に、有名企業の事例をあげたり、私の経験も踏まえながらお話し、参加者同士のディスカッションや本人がマネジメントするチームのパーパスを考えるワークも実施しました。
実施後、受講した管理職の皆さんからは「マネジメントを体系立てて理解することができた」「パーパスはチームビルディングに活用しメンバーのやりがいにも繋げていきたい」といった前向きな声も多く届き、頼もしく思っています。
―前職とイルグルムとで組織開発の違いはありますか。
イルグルムは『アドエビス』というサービスを自社で一貫して企画開発し販売やサポートまで実施しています。
私は現在、『アドエビス』のフロント組織の事業責任者として、プロモーション、セールス、カスタマーサクセス、カスタマーサポートの領域を担当しています。
組織開発がダイレクトにサービスの成長につながっていくこと、大きな1つのサービスを全員一緒につくり上げていくことが、今までにはない大変やりがいのある仕事だと感じています。
―COOとして、これからイルグルムで実現したいことを教えてください。
これからの時代は、ビジネスもマーケティングもテクノロジーをベースに人間中心が重要になっていくので、共感のない事業は成功しないと言われています。
イルグルムの強みであるビジネスとテクノロジー。そこに、私が培ってきたクリエイティブの知見を掛け合わせることで、顧客の体験価値を高め、サービスをさらに成長させていけると考えています。
そのためにも、一番の思いは、やはり「人の才能を見つけ輝かせること」。
仕事における社員自身の体験価値(やり甲斐)が向上することで、社員がその本質を理解し、顧客に対してもさらなるサクセスと体験価値を提供できる組織に成長することが理想です。
目的を再構築し、戦略をたて、社員が仕事を通して自己実現できる具体的な仕事をプロデュースして、それぞれが同じ志を持った仲間とともに、まだないものが生まれてくる喜びを体験できるような仕組みを整えたいと思っています。
そういった組織開発を実施しながら、これからさらに大きくなっていくイルグルム、そして社員と一緒に成長曲線を描いていきたいですね。